スタートアップの資金調達に関する開示規制の緩和(有価証券届出書の免除基準を5億円へ)
施行日:2027年4月1日
国会審議 → 施行までの進み方
施行まであと188日- 国会審議
- 成立
- 3 公布
- 4 施行 2027年4月1日
公布済み。施行まであと188日です。
30秒でわかる:この改正のポイント
| いつから | 2027年4月1日 |
|---|---|
| 誰が対象 | スタートアップ・成長企業(資金調達の担当者)、非上場企業、株式報酬を導入する企業、仲介する証券会社 |
| 何が変わる | 5億円未満に引上げ(第4条第1項第4号) / 10億円未満に拡大(第5条第2項) ほか2項目 |
| 今やること | 資金調達の予定額と時期を確認し、施行日(2027年4月1日)をまたぐかどうかを整理する(ほか3件は下のチェックリスト参照) |
かんたん要約
- ●有価証券届出書の提出が免除される基準が、発行価額等の総額1億円未満から5億円未満に引き上げられます(金商法第4条第1項第4号)。
- ●簡易な様式の届出書を使える「少額募集等」の範囲も、5億円未満から10億円未満に広がります(第5条第2項)。
- ●あわせて、特定投資家私募の相手方に「潜在的特定投資家」が追加され、自社・子会社の役員や使用人への株式報酬の勧誘は上場・非上場を問わず「募集」から除外されます。
対象となる人・企業
スタートアップ・成長企業(資金調達の担当者)、非上場企業、株式報酬を導入する企業、仲介する証券会社
改正前 → 改正後(何が変わる?)
改正前(これまで)
有価証券届出書の提出免除は発行価額等の総額1億円未満
改正後(これから)
5億円未満に引上げ(第4条第1項第4号)
改正前(これまで)
簡易様式を使える「少額募集等」は5億円未満
改正後(これから)
10億円未満に拡大(第5条第2項)
改正前(これまで)
特定投資家私募の相手方は特定投資家に限られる
改正後(これから)
「潜在的特定投資家」を相手方の範囲に追加(行為規制上は一般投資家として扱う)
改正前(これまで)
役員・使用人への株券等の交付の勧誘は「募集」に該当しうる
改正後(これから)
上場・非上場を問わず「募集」から除外し、有価証券届出書の提出を不要に
※ 本ページは公布された条文(e-Gov法令検索)と金融庁の法律案説明資料にもとづく整理です。免除・簡易様式の対象となる募集の細目、潜在的特定投資家の要件は内閣府令で定められます。個別の資金調達で届出書が必要かどうかは、専門家および金融庁の発表でご確認ください。
くわしい解説と実務への影響
段階的なスケジュール
- 令和8年(2026年)7月23日 「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第64号)として公布
- 令和9年(2027年)4月1日 有価証券届出書の免除基準の引上げ、潜在的特定投資家、株式報酬の取扱いが施行
何が変わるか
非上場のスタートアップ・成長企業が資金を集めるとき、これまでは1億円以上の調達で有価証券届出書の提出が必要でした。改正により、この基準が5億円に引き上げられます(金商法第4条第1項第4号)。あわせて、簡易な様式の届出書を使える「少額募集等」の範囲も、5億円未満から10億円未満に広がります(第5条第2項)。5億円までは届出書そのものが不要、5億円から10億円までは簡易様式、という2段構えになります。
なぜ緩和されるのか
金融庁は、スタートアップ・成長企業への成長資金の供給拡大のために非上場株式の発行・流通を活性化することが喫緊の政策課題であるとし、投資者保護に留意しながら開示負担にも配慮した段階的な開示制度を整備する必要があると説明しています。
簡易様式の届出書はどこまで軽いか
少額募集等の場合の有価証券届出書は連結情報が不要とされています。さらに2025年2月には、初めて届出書を提出する場合の財務諸表を監査済み2期分から(比較情報を含む)監査済み1期分にする、特別情報としての3期分の財務諸表の記載を不要にする、ガバナンスに関する情報は事業報告と同程度の記載でよいものとする、サステナビリティ情報の開示を任意化する、といった簡素化が実施されています。今回の基準引上げは、この簡素化された様式を使える範囲を広げるものです。
「潜在的特定投資家」という枠が新設されます
プロ投資家(特定投資家)向けの資金調達手段である特定投資家私募は、証券会社の仲介のもとで簡易な情報提供を条件に開示規制が免除されるしくみですが、特定投資家の裾野が狭く、資金調達の事例は限定的でした。そこで、特定投資家の要件を満たし高い情報分析能力等を持ちながら、行為規制上の保護を受けたいという理由で特定投資家への移行手続を行っていない者を「潜在的特定投資家」として、特定投資家私募の相手方の範囲に追加します。注意点として、潜在的特定投資家は行為規制上は一般投資家として扱われ、仲介する証券会社には適合性原則や説明義務といった行為規制が一般投資家と同様に適用されます。
株式報酬の勧誘が「募集」から外れます
企業が自社および子会社の役員・使用人に対して株券や新株予約権証券を交付する際の勧誘が、上場・非上場を問わず「募集」から除外されます。これにより、譲渡制限付株式報酬やストックオプションを従業員に付与する際に有価証券届出書の提出が不要になります。報酬制度として株式を使いやすくする改正です。
実務上のポイント
調達額が1億円を超えるかどうかで届出書の要否を判断していた実務は、2027年4月1日以降は5億円が分岐点になります。資金調達のスケジュールが施行日をまたぐ場合、どちらのルールが適用されるかで準備の重さが変わるため、時期の見極めが重要になります。株式報酬については、届出書が不要になっても社内での付与手続や税務上の取扱いが変わるわけではない点に注意してください。
有価証券届出書が必要になるライン
改正前
- –1億円未満は免除
- –1億円以上は届出書(5億円未満は簡易様式を利用可)
- –特定投資家私募の相手方は特定投資家のみ
改正後(2027年4月1日〜)
- ✓5億円未満は免除
- ✓5億円以上10億円未満は簡易様式
- ✓潜在的特定投資家も特定投資家私募の相手方に
- ✓役員・従業員への株式報酬の勧誘は「募集」から除外
調達額別の開示義務(改正前後)
| 調達額 | 改正前 | 改正後(2027年4月1日〜) |
|---|---|---|
| 1億円未満 | 届出書は不要 | 届出書は不要 |
| 1億円以上5億円未満 | 通常の有価証券届出書が必要(うち一部は簡易様式) | 届出書は不要 |
| 5億円以上10億円未満 | 通常の有価証券届出書が必要 | 簡易様式の有価証券届出書 |
| 10億円以上 | 通常の有価証券届出書が必要 | 通常の有価証券届出書が必要 |
経過措置・猶予
2026年7月23日に公布された令和8年法律第64号による改正で、施行は2027年4月1日です。免除基準・簡易様式の対象となる募集の細目や、潜在的特定投資家の要件は内閣府令で定められます。
対応チェックリスト
自社で行う対応の一例です。チェックを入れると進捗がこの端末に保存されます(サーバーには送信されません)。
※ 一般的な対応例です。個別の要否は専門家にご確認ください。
よくある質問
いくらまで届出書なしで調達できる?
上場企業には関係ない話?
潜在的特定投資家に勧誘するとき、証券会社の説明義務は軽くなる?
スタートアップの資金調達に関する開示規制の緩和(有価証券届出書の免除基準を5億円へ)はいつから施行されますか?
対象になるのはどんな人・企業ですか?
何が変わりますか?
注意しておくことはありますか?
法令の原文はどこで確認できますか?
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GMOオフィスサポートを見る一次情報・出典
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月)
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案の概要」
- e-Gov法令検索(金融商品取引法)
この改正情報の最終確認日:2026年8月1日