有価証券報告書のサステナビリティ情報開示の義務化

施行日:2027年4月1日施行(開示の適用は2027年3月期から段階的)

国会審議 → 施行までの進み方

施行まであと188日
  1. 国会審議
  2. 成立
  3. 3 公布
  4. 4 施行 2027年4月1日施行(開示の適用は2027年3月期から段階的)

公布済み。施行まであと188日です。

30秒でわかる:この改正のポイント

いつから 2027年4月1日施行(開示の適用は2027年3月期から段階的)
誰が対象 プライム市場の上場企業(時価総額5千億円以上の企業から順次)
何が変わる SSBJ基準にもとづく開示を有価証券報告書で段階的に義務化 / 政令で定める会社は第三者による監査証明(保証)を受ける(金商法第26条の5・開示の適用開始の翌年から) ほか2項目
今やること 自社の時価総額(5事業年度末の平均)がどの段階に入るか確認する(ほか4件は下のチェックリスト参照)

かんたん要約

  • ●有価証券報告書において、SSBJ基準にもとづくサステナビリティ情報の開示が段階的に義務化されます。
  • ●義務化は時価総額3兆円以上のプライム上場企業の2027年3月期から始まり、3兆円未満1兆円以上は2028年3月期、1兆円未満5千億円以上は2029年3月期と拡大する方針です(政令等で規定予定)。
  • ●第三者による保証(監査証明)は、各社の開示適用開始の翌年から義務化されます。保証業務実施者は登録制で、監査法人以外も要件を満たせば参入できます。

対象となる人・企業

プライム市場の上場企業(時価総額5千億円以上の企業から順次)

改正前 → 改正後(何が変わる?)

改正前(これまで)

サステナビリティ情報の開示ルールは限定的・任意の部分が多かった

改正後(これから)

SSBJ基準にもとづく開示を有価証券報告書で段階的に義務化

改正前(これまで)

サステナ情報に第三者のチェックを入れる法律上の仕組みがなかった

改正後(これから)

政令で定める会社は第三者による監査証明(保証)を受ける(金商法第26条の5・開示の適用開始の翌年から)

改正前(これまで)

サステナ情報の保証を行う業者に関する制度がなかった

改正後(これから)

保証業務実施者の登録制を導入(監査法人以外も参入可・行為規制と金融庁の検査監督つき)

改正前(これまで)

将来情報の虚偽記載の責任範囲が明確でなかった

改正後(これから)

一定の要件を満たせば民事責任・行政責任を負わないセーフハーバー・ルールを整備(第21条の2第3項等)

※ 適用対象・時期は企業規模により段階的です。本ページの適用スケジュールは金融庁の説明資料に示された方針で、具体的な範囲は今後の政令・内閣府令で定められます。最新の制度設計は金融庁の発表をご確認ください。

くわしい解説と実務への影響

段階的なスケジュール

  • 令和8年(2026年)7月23日 根拠法(令和8年法律第64号)が公布。金商法にサステナ情報の作成基準・保証の規定が新設
  • 令和9年(2027年)4月1日 改正金商法のうちサステナ情報の開示・保証に関する規定が施行
  • 2027年3月期 時価総額3兆円以上のプライム上場企業でSSBJ基準の開示が義務化(保証は2028年3月期から)
  • 2028年3月期 時価総額3兆円未満1兆円以上の企業で開示が義務化(保証は2029年3月期から)
  • 2029年3月期 時価総額1兆円未満5千億円以上の企業で開示が義務化(保証は2030年3月期から)

開示から保証までの流れ

時価総額(5事業年度末の平均)で適用年度が決まる

3兆円以上→2027年3月期/1兆円以上→2028年3月期/5千億円以上→2029年3月期

SSBJ基準にもとづき有価証券報告書に開示

最初の2年間は二段階開示の経過措置あり

翌年から第三者保証が義務化

保証範囲は当初2年間は限定。保証業務実施者は登録制

将来情報等は要件を満たせば免責

セーフハーバー・ルール(民事責任・行政責任)

制度の全体像

有価証券報告書において、SSBJ基準にもとづくサステナビリティ情報の開示が段階的に義務化されます。SSBJとは、日本のサステナビリティ開示基準を作る「サステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan)」のことです。気候変動などの情報を、財務情報と同じ報告書で開示することが求められます。日本では2023年3月期から上場企業等にサステナビリティ情報の開示が義務づけられていましたが、具体的な基準にもとづくものではなかったため、比較可能性の向上と信頼性の確保が課題とされていました。

根拠法が2026年7月に公布されました

「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第64号)が2026年7月15日に成立し、7月23日に公布されました。この改正で金融商品取引法に第26条の4(特定非財務情報の作成基準)と第26条の5(特定非財務情報監査証明業者による監査証明)などが新設され、開示の枠組みが法律に位置づけられました。施行日は2027年4月1日です。

適用開始は時価総額で3段階に分かれます

金融庁の説明資料では、グローバルな投資家との建設的な対話を志向するプライム市場上場企業の、時価総額の大きな企業から順次義務付けていくことを政令等で規定する予定とされています。具体的には、時価総額3兆円以上が2027年3月期、3兆円未満1兆円以上が2028年3月期、1兆円未満5千億円以上が2029年3月期です。時価総額5千億円未満の企業への適用は、企業の開示状況や投資家のニーズ等を踏まえて今後検討されます。なお、判定に使う時価総額は5事業年度末の平均値を用いることが内閣府令で規定される予定です。

「保証」は開示の1年後から義務づけられます

新設された金商法第26条の5により、政令で定める会社(条文上は「特定提出者」)は、有価証券報告書などに記載するサステナビリティ情報について、利害関係のない第三者による監査証明(保証)を受けることが必要になります。保証の義務付けは、各社の開示基準の適用開始時期の翌年からです。たとえば時価総額3兆円以上の企業であれば、2027年3月期に開示が義務化され、2028年3月期から保証が義務化されます。保証の範囲は当初2年間は限定され、3年目以降の扱いは国際動向等を踏まえて今後検討されます。

保証をするのは監査法人だけではありません

保証を行う業者には内閣総理大臣の登録を受ける制度(第26条の6以下)が新設されました。登録できるのは法人で、監査法人・監査法人以外のいずれも要件を満たせば参入できます。登録要件には、業務執行担当者の設置などの人的体制の整備、品質管理部門の設置、一定の財産的基礎、国際基準(倫理・独立性基準)で求められる義務の遵守が含まれます。登録業者には守秘義務、一定の非保証業務との同時提供の禁止、業務執行担当者のローテーションといった行為規制が課され、検査・監督は当面、自主規制機関ではなく金融庁が実施します。保証は国際基準(保証基準ISSA5000、品質管理基準ISQM1、倫理・独立性基準IESSA)と整合性が確保された基準に準拠して行われます。

将来情報の虚偽記載には免責のしくみが用意されます(セーフハーバー・ルール)

企業が萎縮せずに情報を出せるよう、一定の場合には将来情報等の虚偽記載について金商法上の民事責任・行政責任を負わないこととされました(改正金商法第21条の2第3項等)。対象となるのは、将来情報(業績見通しやビジョン等)、見積り情報、統制の及ばない第三者から取得した情報(他社の温室効果ガス排出量=Scope3や行政機関の公表情報等)です。ただし財務諸表に密接に関連する情報は除かれます。適用を受けるには、有価証券報告書に前提となる事実・仮定・推論過程・情報の入手経路等に関する社内の検討評価手続を開示し、確認書に経営者が開示手続を整備し実効性を確認した旨を開示することが必要です。課徴金納付命令や訂正報告書の提出命令も対象になりますが、故意犯処罰を原則とする刑事責任は対象外です。

最初の2年間は「二段階開示」が認められる見込みです

経過措置として、適用開始から2年間は二段階開示を許容することが内閣府令で規定される予定です。SSBJ基準に従って有価証券報告書に記載すべき事項を訂正報告書に記載し、半期報告書の提出期限までに提出することで追完できるしくみです。初年度からすべてを有報の本体に間に合わせなくてよい、という実務上の緩和策です。

実務上のポイント

自社の時価総額がどの段階に入るかを、5事業年度末平均という判定方法を前提に確認しておくことが出発点です。開示の義務化の翌年には保証が入るため、開示するデータの根拠資料を第三者に説明できる形で残す運用は、開示初年度から必要になります。保証業務実施者は登録制のため、依頼先の選定は登録の有無を確認したうえで行うことになります。適用対象・基準の詳細は政令・内閣府令で定められるため、金融庁の発表をあわせてご確認ください。

当初2年間の保証範囲はどこまでか

保証の範囲は導入当初の2年間は限定されます。金融審議会ワーキング・グループの議論では、温室効果ガス排出量のScope1・2とガバナンスに関する開示が当初の対象として挙げられていました。他社の排出量にあたるScope3は、企業の統制が及ばない第三者から取得する情報であり、セーフハーバー・ルールの対象としても位置づけられています。3年目以降の範囲拡大は国際的な動向を踏まえて検討されるため、対象企業は保証対応の負担が段階的に増える前提で体制を整える必要があります。

有価証券報告書では2023年3月期から開示欄が先行

SSBJ基準の義務化に先立ち、有価証券報告書ではすでにサステナビリティ関連の開示が一部求められています。金融庁によると、2023年1月の内閣府令等の改正で「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設され、2023年3月期決算の企業から適用されています。あわせて「従業員の状況」欄では、女性管理職比率・男性の育児休業取得率・男女間賃金格差といった多様性の指標の開示も求められています。2027年以降のSSBJ基準義務化は、これらの既存の開示を土台に強化されるものと位置づけられます。

時価総額による適用開始時期

2027年3月期 時価総額3兆円以上

保証は2028年3月期から

2028年3月期 3兆円未満1兆円以上

保証は2029年3月期から

2029年3月期 1兆円未満5千億円以上

保証は2030年3月期から

今後検討 その他のプライム企業

開示状況・投資家ニーズを踏まえて検討

時価総額は5事業年度末の平均値で判定する予定。保証は開示の翌年から。

うちの会社は対象になる?

自社はSSBJ基準の開示義務の対象か?

有価証券報告書を提出するプライム市場の上場企業で、時価総額3兆円以上の場合

2027年3月期から対象。最も早い適用開始区分にあたる

時価総額1兆円以上3兆円未満の上場企業の場合

2028年3月期から対象(保証は2029年3月期から)

時価総額5千億円以上1兆円未満の上場企業の場合

2029年3月期から対象(保証は2030年3月期から)

非上場企業・有価証券報告書を提出しない企業の場合

直接の対象ではない

適用時期・区分は金融庁の法案説明資料に示された方針で、政令等で規定される予定です。最新の制度設計は金融庁の発表をご確認ください。

開示・保証の義務化スケジュール(金融庁説明資料・政令等で規定予定)

対象(プライム市場上場企業)開示の義務化保証の義務化
時価総額3兆円以上2027年3月期2028年3月期
時価総額3兆円未満1兆円以上2028年3月期2029年3月期
時価総額1兆円未満5千億円以上2029年3月期2030年3月期
上記以外のプライム企業適用義務化に向けて今後検討—

経過措置・猶予

根拠となる改正金商法は2026年7月23日に公布され、2027年4月1日に施行されます。金融庁の説明資料では、開示の義務付けは時価総額3兆円以上のプライム上場企業の2027年3月期から始まり、3兆円未満1兆円以上は2028年3月期、1兆円未満5千億円以上は2029年3月期と段階的に拡大する方針が示されています(政令等で規定予定)。保証は各社の開示適用開始の翌年から義務付けられ、保証範囲は当初2年間は限定されます。適用開始から2年間は二段階開示の経過措置も予定されています。

対応チェックリスト

自社で行う対応の一例です。チェックを入れると進捗がこの端末に保存されます(サーバーには送信されません)。

0 / 5 完了

※ 一般的な対応例です。個別の要否は専門家にご確認ください。

よくある質問

非上場企業も対象?
有価証券報告書を提出するプライム市場の上場企業が対象で、時価総額の大きい企業から段階的に始まります。非上場企業は直接の対象ではありません。
うちは時価総額5千億円未満だが関係ある?
現時点で適用時期が示されているのは時価総額5千億円以上のプライム市場上場企業までです。それ以外のプライム企業への適用は、企業の開示状況や投資家のニーズ等を踏まえて今後検討されるとされています。
サステナ情報にも監査が入るの?
2026年7月23日公布の改正金商法(第26条の5)で、政令で定める会社は第三者による監査証明(保証)を受けることとされました。保証の義務付けは開示の適用開始の翌年からで、保証範囲は当初2年間は限定されます。
保証は監査法人に頼まないといけない?
いいえ。保証業務実施者は登録制(法人)で、監査法人・監査法人以外のいずれも登録要件を満たせば参入できるとされています。依頼先が登録を受けているかを確認する必要があります。
見通しが外れたら虚偽記載になる?
将来情報・見積り情報・Scope3など統制の及ばない第三者から取得した情報については、前提となる事実や仮定・推論過程を有価証券報告書に開示し、確認書で経営者が開示手続の整備と実効性を確認していれば、金商法上の民事責任・行政責任を負わないセーフハーバー・ルールが適用されます。ただし財務諸表に密接に関連する情報は対象外で、刑事責任も対象外です。
有価証券報告書のサステナビリティ情報開示の義務化はいつから施行されますか?
2027年4月1日施行(開示の適用は2027年3月期から段階的)です。(本日からおよそ188日後)
対象になるのはどんな人・企業ですか?
プライム市場の上場企業(時価総額5千億円以上の企業から順次)が対象です。自社が該当するかは個別にご確認ください。
何が変わりますか?
これまで「サステナビリティ情報の開示ルールは限定的・任意の部分が多かった」だったものが、「SSBJ基準にもとづく開示を有価証券報告書で段階的に義務化」に変わります。 これまで「サステナ情報に第三者のチェックを入れる法律上の仕組みがなかった」だったものが、「政令で定める会社は第三者による監査証明(保証)を受ける(金商法第26条の5・開示の適用開始の翌年から)」に変わります。 これまで「サステナ情報の保証を行う業者に関する制度がなかった」だったものが、「保証業務実施者の登録制を導入(監査法人以外も参入可・行為規制と金融庁の検査監督つき)」に変わります。 これまで「将来情報の虚偽記載の責任範囲が明確でなかった」だったものが、「一定の要件を満たせば民事責任・行政責任を負わないセーフハーバー・ルールを整備(第21条の2第3項等)」に変わります。
注意しておくことはありますか?
適用対象・時期は企業規模により段階的です。本ページの適用スケジュールは金融庁の説明資料に示された方針で、具体的な範囲は今後の政令・内閣府令で定められます。最新の制度設計は金融庁の発表をご確認ください。
法令の原文はどこで確認できますか?
金融商品取引法の条文は、e-Gov法令検索(デジタル庁)で確認できます。本ページ下部のリンクからアクセスできます。

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この改正に出てくる用語

一次情報・出典

この記事は法改正の概要をわかりやすくお伝えするものであり、法律上のアドバイスではありません。 施行日・金額・要件などは変更される場合があります。実際の対応にあたっては上記の一次情報をご確認のうえ、 個別の事案は社会保険労務士・税理士などの専門家にご相談ください。

この改正情報の最終確認日:2026年8月1日