労働者派遣法(同一労働同一賃金の改正+現行ルールの整理)
施行日:2026年10月1日(同一労働同一賃金関係の改正)
国会審議 → 施行までの進み方
施行まであと6日- 国会審議
- 成立
- 3 公布
- 4 施行 2026年10月1日(同一労働同一賃金関係の改正)
公布済み。施行まであと6日です。
30秒でわかる:この改正のポイント
| いつから | 2026年10月1日(同一労働同一賃金関係の改正) |
|---|---|
| 誰が対象 | 派遣社員を受け入れる企業(派遣先)/派遣会社(派遣元) |
| 何が変わる | 2026年10月から、待遇差の内容・理由等の説明を求められる旨の明示が義務に。ガイドラインも明確化 |
| 今やること | 派遣の3年ルール(事業所単位・組織単位)の状況を確認する(ほか3件は下のチェックリスト参照) |
かんたん要約
- ●派遣法改正2026の施行日は2026年10月1日です。施行まで1か月を切りました。
- ●改正では、雇入れ時・派遣時に「待遇差の内容・理由の説明を求めることができる旨」の明示が新たに義務づけられます。あわせて同一労働同一賃金ガイドラインが明確化されます。
- ●同じ2026年10月1日に社会保険の適用拡大(106万円の壁の撤廃)やカスタマーハラスメント対策の義務化も施行され、派遣実務では「2026年問題」と呼ばれる対応の集中が起きます。
- ●3年ルール(期間制限)・雇用安定措置・同一労働同一賃金(2方式)といった現行ルールは引き続き重要です。
対象となる人・企業
派遣社員を受け入れる企業(派遣先)/派遣会社(派遣元)
改正前 → 改正後(何が変わる?)
改正前(これまで)
雇入れ時・派遣時の明示事項に、待遇差の説明を求められる旨は含まれていなかった
改正後(これから)
2026年10月から、待遇差の内容・理由等の説明を求められる旨の明示が義務に。ガイドラインも明確化
※ 改正の根拠となる省令・告示(同一労働同一賃金ガイドラインの改正を含む厚生労働省告示第202号・第203号)は2026年4月28日に公布済みです。実務対応は公布された告示の本文と厚生労働省の資料でご確認ください。
くわしい解説と実務への影響
段階的なスケジュール
- 令和8年(2026年)7月1日 障害者法定雇用率が2.5%→2.7%へ引き上げ(施行済み。派遣元の雇用率算定に影響)
- 令和8年(2026年)10月1日 同一労働同一賃金に関する改正(雇入れ時・派遣時の明示事項の追加、ガイドラインの明確化)
- 令和8年(2026年)10月1日 社会保険の適用拡大(いわゆる106万円の壁の賃金要件撤廃。派遣スタッフの加入が拡大)
- 令和8年(2026年)10月1日 カスタマーハラスメント対策の義務化
派遣の三者関係と現行ルール
派遣元と労働契約
派遣先で就業(原則3年)
同一労働同一賃金・雇用安定措置
全体像
労働者派遣法は、近年、制度を作り直すような大規模な改正はありません。一方で2026年10月1日に同一労働同一賃金に関する改正が予定されており、現行の基本ルール(3年ルール・雇用安定措置・同一労働同一賃金)は引き続き重要です。
2026年10月1日の改正
派遣労働者の雇入れ時・派遣時に、「待遇の相違の内容・理由等について説明を求めることができる旨」の明示が新たに義務づけられます。あわせて、同一労働同一賃金ガイドラインが裁判例等を踏まえて明確化され、公正な評価による待遇改善が促されます。労使協定方式・派遣先均等均衡方式の枠組み自体の廃止・統合は示されていません。根拠となる改正省令・告示は2026年4月28日に公布済みで、施行日はいずれも2026年10月1日です。
ガイドライン改正の中身:退職手当・家族手当・住宅手当の例が加わった
改正後の同一労働同一賃金ガイドライン(2026年4月28日公布・厚生労働省告示第202号・第203号)では、これまで「原則となる考え方」が示されていなかった待遇について、問題となる例・ならない例が追加されました。具体的には、退職手当・家族手当・住宅手当について考え方と例が新たに示され、夏季冬季休暇・無事故手当などの記載も充実しています。たとえば住宅手当なら、転勤の可能性という支給目的に実態が伴っているかが問われる形です。また、有期契約から無期転換した労働者について、転換前の不合理な待遇差を引き継いでいないか点検する考え方(第6)が新設されました。派遣の実務では、派遣先均等・均衡方式における待遇ごとの判断や、労使協定方式での協定内容の点検において、この具体化された物差しを使うことになります。「正社員だから」という説明だけで待遇差を維持するのは、これまで以上に通りにくくなります。
現行ルール①3年ルール(期間制限と抵触日)
同一の派遣先の事業所で派遣を受け入れられるのは原則3年です(労働者派遣法40条の2第2項)。この3年を迎えて受入れができなくなる最初の日を、実務では「抵触日」と呼びます。過半数労働組合等の意見聴取を経れば3年を限り延長できます(事業所単位)。さらに、同一の組織単位(課など)への同一の人の派遣も原則3年が上限で、こちらは延長できません(個人単位・40条の3)。
現行ルール②雇用安定措置
同一の組織単位に3年間継続して派遣される見込みがある場合、派遣元に雇用安定措置が義務づけられます(派遣先への直接雇用の依頼、新たな派遣先の提供、派遣元での無期雇用など)。
現行ルール③同一労働同一賃金
派遣元は、派遣先均等・均衡方式、または労使協定方式のいずれかで、派遣労働者の待遇を確保する義務があります。
派遣元(派遣会社)の対応チェックリスト
①雇入れ時・派遣時の明示書類(労働条件通知書・就業条件明示書など)に「待遇差の内容・理由等の説明を求めることができる旨」を追加する。②実際に説明を求められた場合の回答手順・担当者をあらかじめ決めておく。③労使協定方式の場合は、明確化されるガイドラインに沿って協定内容・賃金水準を点検する。④同日に施行される社会保険の適用拡大(106万円の壁の撤廃)で新たに加入対象となるスタッフを洗い出し、本人への説明と手続きを準備する。
派遣先(受入れ企業)の対応チェックリスト
①事業所単位・組織単位の3年ルールの期限を一覧化し、意見聴取や直接雇用の検討時期を把握する。②派遣先均等・均衡方式の場合の比較対象労働者の待遇情報の提供など、派遣元への情報提供の運用を再確認する。③社会保険の適用拡大や待遇改善は派遣料金に反映され得るため、派遣料金の見直し要請に備えて予算を確認しておく。④派遣スタッフにも及ぶ職場環境の整備(ハラスメント対策など)を確認する。
派遣は「三者」に関わる横断テーマ
派遣は派遣元・派遣先・スタッフの三者が関わります。他の法改正も三者に異なる形で波及します。例えば社会保険の適用拡大(106万円の壁)は派遣スタッフの社会保険加入に、障害者雇用率は派遣元での算定に関わります。本サイトの各改正ページもあわせてご確認ください。
「抵触日」とは何か — 事業所単位と個人単位の2つの3年
派遣の期間制限を語るときに必ず出てくる「抵触日」ですが、実は労働者派遣法の条文にこの言葉は出てきません。法40条の2第7項が、派遣可能期間を延長したときに派遣先が派遣元事業主へ通知すべきものとして「第一項の規定に抵触することとなる最初の日」と定めており、これを実務で略して抵触日と呼んでいます。つまり抵触日とは「この日以降は受け入れを続けられなくなる最初の日」のことです。期間制限には性質の違う2つがあり、混同されやすいので分けて押さえてください。ひとつは事業所単位の期間制限(40条の2)で、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの業務について、派遣可能期間は3年です(同条2項)。もうひとつは個人単位の期間制限(40条の3)で、事業所単位の期間が延長された場合でも、組織単位(課など)ごとの業務について同一の派遣労働者を3年を超えて受け入れることはできません。
事業所単位の抵触日は延長できる(個人単位は延長できない)
事業所単位の3年は、手続を踏めば延長できます。延長できるのは「3年を限り」で、その期間が経過した場合にさらに延長しようとするときも同じ手続を踏めばよいとされているため、回数の上限はありません(40条の2第3項)。手続の中心は過半数労働組合等への意見聴取です。派遣先は、意見聴取期間——労働者派遣の役務の提供が開始された日(すでに延長している場合は延長前の派遣可能期間が経過した日)から、抵触日の1か月前の日までの間——に、過半数労働組合(無い場合は労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません(同条3項・4項)。意見を聴かれた過半数労働組合等が異議を述べたときは、延長前の派遣可能期間が経過することとなる日の前日までに、延長の理由その他厚生労働省令で定める事項を説明する必要があります(同条5項)。これらの意見聴取と説明は、法の趣旨にのっとって誠実に行うよう努めなければならないとされています(同条6項)。そして延長したときは、速やかに派遣元事業主へ新しい抵触日を通知します(同条7項)。一方、個人単位の3年(40条の3)にはこうした延長の規定がありません。同じ人を同じ課で3年を超えて受け入れたい場合は、直接雇用に切り替えるか、別の組織単位へ異動してもらうことになります。
期間制限がかからない5つの場合
40条の2第1項は、次に当たる労働者派遣を期間制限の対象から除いています。①無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣、②雇用の機会の確保が特に困難であってその雇用の継続等を図る必要があると認められる者として厚生労働省令で定める者に係る労働者派遣(60歳以上の方などが該当します)、③事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務で一定の期間内に完了することが予定されているもの(有期プロジェクト業務)、またはその業務が1か月間に行われる日数が派遣先の通常の労働者の1か月の所定労働日数に比べて相当程度少なく、かつ厚生労働大臣の定める日数以下である業務(日数限定業務)に係る労働者派遣、④産前産後休業や育児休業を取得する労働者の業務に係る労働者派遣、⑤介護休業等を取得する労働者の業務に係る労働者派遣。自社の受入れがこれらに当たるかどうかで、抵触日の管理が必要かどうかが変わります。
派遣社員とは? 法律上の定義(派遣労働者)
「派遣社員」は法律用語では派遣労働者といい、労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)第2条で定義されています。同条第1号は「労働者派遣」を、自己の雇用する労働者を、その雇用関係の下に、かつ他人の指揮命令を受けて、その他人のために労働に従事させることと定めており、あわせてその他人に労働者を雇用させることを約してするものは含まないとしています。第2号は「派遣労働者」を、事業主が雇用する労働者であって労働者派遣の対象となるものと定義しています。つまり雇用契約を結ぶ相手は派遣元(派遣会社)であり、指揮命令を受けて実際に働く先が派遣先という二重の関係になる点が、派遣先と直接雇用契約を結ぶ正社員・契約社員・パートとの決定的な違いです。給与の支払いや社会保険の手続きは雇用主である派遣元が行います。なお同条第3号は「労働者派遣事業」を労働者派遣を業として行うことと定めています。
2026年10月改正は3つの柱
厚生労働省は、2026年(令和8年)10月1日の改正として大きく3つの内容を示しています。1つ目は、雇入れ時・派遣時の明示事項に「待遇の相違の内容及び理由等について説明を求めることができる旨」を追加すること。2つ目は、裁判例等を踏まえた「同一労働同一賃金ガイドライン」の更なる明確化。3つ目は、公正な評価による待遇改善の促進等です。明示義務だけに目が行きがちですが、ガイドラインの明確化もあわせて確認しておくと安心です。
同一労働同一賃金の2つの方式
派遣労働者の同一労働同一賃金は、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消することを目指す仕組みです。実現の方式は2つあり、1つは「派遣先均等・均衡方式」で、派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図ります(労働者派遣法第30条の3)。もう1つは「労使協定方式」で、派遣元が労働者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者と一定の要件を満たす労使協定を締結する方法です。自社(派遣元)がどちらの方式を採っているかは、待遇決定の前提として必ず確認しておきましょう。
労使協定方式の賃金水準の考え方
労使協定方式を採る場合、派遣労働者の賃金は「派遣労働者と同種の業務に同一の地域で従事する一般労働者の平均賃金と同等以上」になるように決定する必要があります。派遣会社(派遣元)はこの一般賃金水準を踏まえて協定の内容を整える必要があり、派遣先企業としても、委託先の派遣会社が適切に待遇を確保しているかを確認する観点で押さえておきたいポイントです。
派遣の「2026年問題」— 同時に進む改正への対応
派遣の実務では、2026年に施行・予定される法改正が同時期に集中することを指して「2026年問題」という言葉が使われることがあります。10月の同一労働同一賃金関係の改正に加えて、社会保険の適用拡大(いわゆる106万円の壁の撤廃)、カスタマーハラスメント対策の義務化、障害者法定雇用率の引上げなどが同じ年に重なり、派遣元では雇用契約書・労使協定・就業規則の見直し、派遣先では派遣料金や受入れ体制の再点検が必要になります。派遣は派遣元・派遣先・スタッフの三者に影響が波及するため、個々の改正を別々に追うのではなく、2026年の年間スケジュールとして一覧化して準備するのが現実的です。それぞれの改正の詳細は、本ページ下部の「関連する改正」から確認できます。
雇入れ時・派遣時の明示事項(2026年10月改正前後)
改正前
- –明示事項に、待遇差の内容・理由等の説明を求められる旨は含まれていなかった
改正後(2026年10月1日〜)
- ✓「待遇の相違の内容及び理由等について説明を求めることができる旨」の明示が必要に
- ✓同一労働同一賃金ガイドラインも更なる明確化
同一労働同一賃金:どちらの方式?
派遣労働者の待遇はどの方式で決める?
派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇を図る場合
派遣先均等・均衡方式(労働者派遣法第30条の3)
派遣元で過半数労働組合・過半数代表者と一定要件の労使協定を締結している場合
労使協定方式(賃金は同種業務・同一地域の一般労働者の平均賃金と同等以上)
いずれの方式も、派遣先と派遣労働者の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
経過措置・猶予
3年ルール・雇用安定措置・同一労働同一賃金は現行どおり継続。2026年10月に説明義務等の改正。
対応チェックリスト
自社で行う対応の一例です。チェックを入れると進捗がこの端末に保存されます(サーバーには送信されません)。
※ 一般的な対応例です。個別の要否は専門家にご確認ください。
よくある質問
派遣法改正2026はいつから施行されますか?
同一労働同一賃金ガイドラインは具体的に何が変わりますか?
派遣に大きな法改正はある?
派遣の「2026年問題」とは何ですか?
2026年10月1日までに何を準備すればいいですか?
労働者派遣法(同一労働同一賃金の改正+現行ルールの整理)はいつから施行されますか?
対象になるのはどんな人・企業ですか?
何が変わりますか?
注意しておくことはありますか?
法令の原文はどこで確認できますか?
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この改正情報の最終確認日:2026年9月7日