個人情報保護法の改正(課徴金制度・こども個人情報・生体情報・AI特例)
施行日:公布(2026年7月17日・令和8年法律第56号)/施行は2028年7月16日まで(一部2027年1月17日)
国会審議 → 施行までの進み方
- 国会審議
- 成立
- 3 公布
- 4 施行 時期未定
公布済み。施行日を待っています。
30秒でわかる:この改正のポイント
| いつから | 公布(2026年7月17日・令和8年法律第56号)/施行は2028年7月16日まで(一部2027年1月17日) |
|---|---|
| 誰が対象 | 個人情報を取り扱うすべての事業者 |
| 何が変わる | 課徴金制度を新設(違反行為の売上高ベースで算出) / 法定代理人の同意取得を義務化・最善の利益優先の責務規定を新設 ほか2項目 |
| 罰則 | (現行法)委員会の命令違反に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人重科1億円以下)。 |
| 今やること | 自社で取り扱う個人情報の棚卸しを行う(特に生体情報・こども情報の有無)(ほか4件は下のチェックリスト参照) |
かんたん要約
- ●「3年ごと見直し」にもとづく12項目の改正で、課徴金制度の導入、こども個人情報(16歳未満)の保護強化、特定生体個人情報の新設などが盛り込まれています。
- ●2026年4月7日に閣議決定・国会提出、7月10日に可決・成立し、7月17日に令和8年法律第56号として公布されました。
- ●施行は一部規定が2027年1月17日、主要部分は公布から2年以内(2028年7月16日まで)です。AI・統計処理の緩和と、罰則強化(不正取得罪の新設・課徴金)の両面を含む大規模改正です。
対象となる人・企業
個人情報を取り扱うすべての事業者
改正前 → 改正後(何が変わる?)
改正前(これまで)
違反に対する金銭的なペナルティ(課徴金)の制度はない
改正後(これから)
課徴金制度を新設(違反行為の売上高ベースで算出)
改正前(これまで)
こども(16歳未満)の個人情報に特別な規律はない
改正後(これから)
法定代理人の同意取得を義務化・最善の利益優先の責務規定を新設
改正前(これまで)
生体情報に特別な定義・規律はない
改正後(これから)
「特定生体個人情報」として定義し、通知義務・利用停止請求権・オプトアウト禁止を適用
改正前(これまで)
統計目的の第三者提供にも本人同意が必要
改正後(これから)
統計情報の作成目的に限り、一定の条件下で同意不要とする特例を新設
※ 改正法は2026年7月10日に成立し、7月17日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号)として公布されました。施行は、一部規定が2027年1月17日、主要部分が公布日から起算して2年以内(2028年7月16日まで)の政令で定める日です。各規定の具体的な施行日は今後の政令で確定します。
くわしい解説と実務への影響
段階的なスケジュール
- 令和7年(2025年)11月 個人情報保護委員会が「3年ごと見直し」の制度改正方針を公表
- 令和8年(2026年)1月9日 制度改正方針の最終版(12項目)を公表
- 令和8年(2026年)4月7日 改正法律案を閣議決定・第221回国会に提出
- 令和8年(2026年)5月26日 衆議院本会議で与党・維新・国民賛成多数で可決
- 令和8年(2026年)7月10日 参議院本会議で可決・成立
- 令和8年(2026年)7月17日 「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号)として公布。施行は一部が2027年1月17日、主要部分は2028年7月16日までの政令で定める日
改正の流れ(衆議院通過)
2026年4月 閣議決定・国会提出
2026年5月 衆議院で可決
参議院で審議中 → 施行は2028年春ごろ
制度の全体像
個人情報保護法の「3年ごと見直し」にもとづく改正で、2022年の全面施行から3年を経て12項目の見直しが行われます。課徴金制度の導入、こども個人情報の保護強化、生体情報の厳格化、AI・統計処理の特例など多岐にわたり、2006年以来最大規模の改正です。
課徴金制度の導入
個人情報の違法な取扱いによって財産上の利益を得た場合に、個人情報保護委員会が直接課徴金の納付を命じることができる制度が新設されます。罰金・過料と異なり、違反行為の売上高ベースで算出されるため、大規模な情報漏えい等では高額になる可能性があります。
こども個人情報の保護(16歳未満)
16歳未満の個人情報(こども個人情報)について、法定代理人からの同意取得が義務化されます。「本人の最善の利益を優先して考慮すべき」責務規定が新設され、ターゲティング広告や行動追跡への利用に歯止めがかかります。
特定生体個人情報の新設
顔認証データなどの身体的特徴に係る情報が「特定生体個人情報」として新たに定義されます。取扱事実の本人通知義務、違法な取扱いがなくとも利用停止請求が可能、オプトアウト提供の禁止が適用されます。
AI・統計処理の特例(緩和)
統計情報等の作成を目的として第三者に個人情報を提供する場合について、一定の条件下で本人の同意を不要とする措置が講じられます。AI学習データとしての活用は統計処理目的に限定されれば同意負担が軽減されます。
連絡可能個人関連情報
メールアドレス、電話番号、Cookie IDなど特定の個人に対する働きかけが可能となる情報が「連絡可能個人関連情報」として定義され、不正取得・不当利用(詐欺目的等)が禁止されます。
漏えい通知義務の合理化
漏えい等が発生した場合の本人通知義務・委員会報告義務について、本人の権利利益の侵害のおそれが少ない場合は、代替保護措置(暗号化等)を講じていれば通知義務が緩和されます。
罰則の強化
不正提供罪の対象が拡大され、不正取得罪が新設されます。いずれも2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です。
実務上のポイント
①自社の個人情報取扱いの棚卸し(特に生体情報・こども情報の有無)②課徴金リスクの経営報告③プライバシーポリシーの改定準備④漏えい対応フローの見直し⑤委託先管理体制の強化。公布から2年の準備期間があるため、段階的に対応を進めましょう。
課徴金の対象となる4つの違反類型と「1,000人」基準
記者発表資料によると、課徴金納付命令の対象となるのは、(1)不適正な利用の禁止(法第19条)違反、(2)適正な取得(法第20条第1項)違反、(3)第三者提供の制限(法第27条第1項)違反、(4)統計作成等の特例違反(目的外利用・第三者提供)の4類型に限定されます。さらに、(2)事業者が違反防止のための相当の注意を怠っていない場合は対象外、(3)個人の権利利益が侵害されたか侵害の具体的なおそれが生じた場合に限定、(4)大規模な事案(対象行為に係る本人の数について1,000人を基準とする)に限る、という絞り込みが設けられています。漏えい等を起こしただけで直ちに課されるものではなく、悪質・大規模な違反に的を絞った制度設計です。
課徴金額はどう計算されるか
課徴金の額は、当該違反行為によって得られた財産的利益等に相当する額とされています。記者発表資料では算定方法として、違反事業者が対象行為(または対象行為をやめることの対価)として得た金銭等の財産上の利益に相当する額、と説明されています。制度の目的は、勧告・命令を受けて違反をやめても経済的利得を保持できてしまう現行制度の抜け穴をふさぎ、違反行為の経済的誘因を小さくして悪質な違反を抑止することにあります。
16歳未満の子どもの個人情報に新ルール
改正法律案では、16歳未満の者が本人である場合、同意取得や通知等について当該本人の法定代理人(親権者等)を対象とすることを明文化するとともに、未成年者の個人情報等の取扱いについて本人の最善の利益を優先して考慮すべき旨の責務規定を設けるとされています。年齢基準は16歳未満です。子ども向けサービスや、利用者に未成年が含まれうる事業者は、保護者(法定代理人)の同意取得フローの見直しが必要になる可能性があります。
うちは課徴金の対象になる?
自社の個人情報の取扱いは課徴金納付命令の対象に該当しますか?
不適正利用(法19条)・不正取得(法20条1項)・無断の第三者提供(法27条1項)・統計特例違反のいずれにも当たらない場合
対象外。課徴金の対象行為は、この4類型に限定されています。
対象行為でも、違反防止の相当の注意を怠っていなかった場合
対象外。主観的要素で限定されます。
対象行為に係る本人の数が1,000人を下回るなど大規模事案に当たらない場合
対象外。大規模な事案(本人1,000人を基準)に限定されます。
上記4類型の悪質な違反で、個人の権利利益が侵害(またはその具体的おそれ)があり、本人1,000人を基準とする大規模事案の場合
課徴金納付命令の対象になり得ます。
出典: 個人情報保護委員会 記者発表資料(令和8年4月)。本記事は審議中の改正法律案にもとづくもので、内容・施行時期は未確定です。
課徴金制度: 改正前後
改正前(現行法)
- –違反に対する金銭的ペナルティ(課徴金)の制度はない
- –勧告・命令を受けて違反をやめれば、違反で得た経済的利得をそのまま保持できる
改正後(審議中の法律案)
- ✓重大な違反で個人の権利利益が侵害された場合等に課徴金納付命令を導入
- ✓対象は不適正利用・不正取得・無断第三者提供・統計特例違反の4類型に限定
- ✓大規模事案(本人1,000人を基準)に限定
- ✓額は違反で得た財産上の利益に相当する額
主な改正項目と施行の見通し
| 改正項目 | 概要 | 影響度 |
|---|---|---|
| 課徴金制度 | 違反行為の売上高ベースで課徴金を賦課 | 大 |
| こども個人情報 | 16歳未満は法定代理人の同意が必要 | 中〜大 |
| 特定生体個人情報 | 顔認証等に通知義務・利用停止請求権 | 中 |
| AI・統計処理の特例 | 統計目的の提供は同意不要に(緩和) | 中 |
| 連絡可能個人関連情報 | メアド・電話等の不正取得禁止 | 中 |
| 漏えい通知の合理化 | 低リスク時の通知義務を緩和 | 小〜中 |
| 罰則強化 | 不正提供罪拡大・不正取得罪新設 | 中 |
違反した場合のリスク
(現行法)委員会の命令違反に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(法人重科1億円以下)。改正で課徴金制度(違反行為の売上高ベースで算出)を新たに導入。不正提供罪の対象拡大、不正取得罪の新設(いずれも2年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)。
経過措置・猶予
2026年4月7日に閣議決定・国会提出、5月26日に衆議院本会議で可決、7月10日に参議院本会議で可決・成立し、7月17日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」(令和8年法律第56号)として公布されました。施行は、一部規定が2027年1月17日、主要部分は公布から2年以内(2028年7月16日まで)です。
対応チェックリスト
自社で行う対応の一例です。チェックを入れると進捗がこの端末に保存されます(サーバーには送信されません)。
※ 一般的な対応例です。個別の要否は専門家にご確認ください。
よくある質問
うちのような小さな事業者も対象?
いつから対応が必要?
AIでの個人情報利用は自由になる?
個人情報保護法の改正(課徴金制度・こども個人情報・生体情報・AI特例)はいつから施行されますか?
対象になるのはどんな人・企業ですか?
何が変わりますか?
注意しておくことはありますか?
法令の原文はどこで確認できますか?
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法改正を学ぶなら社労士という選択
労働法・社会保険の法改正を扱うプロフェッショナル、社会保険労務士。資格指導歴40年以上のLECの通信講座で、実務に直結する国家資格を目指せます。
LECの社労士講座を見る一次情報・出典
- 個人情報保護委員会(令和8年 改正個人情報保護法について)
- 個人情報保護委員会(3年ごと見直し)
- 個人情報保護委員会(改正法案の閣議決定 2026年4月7日)
- e-Gov法令検索(個人情報保護法)
- 個人情報保護委員会(公式)
この改正情報の最終確認日:2026年7月21日