電子取引データ保存の義務化とは?電子帳簿保存法の実務対応ガイド
区分:現在義務化(2024年1月〜・実務対応ガイド)
30秒でわかる:この規制のポイント
| 区分 | 現在義務化(2024年1月〜・実務対応ガイド) |
|---|---|
| 誰が対象 | 電子取引を行うすべての事業者(個人事業主・法人の経理担当) |
| 守ること | 電子取引データは、要件(改ざん防止+検索)を満たして電子データのまま保存する / 国税庁が様式を公開する「事務処理規程」を定めて運用すれば、追加コストなしで改ざん防止要件を満たす |
| 罰則 | 要件どおりに保存していない場合、青色申告の承認取消や、隠蔽・仮装があった場合の重加算税の加重(10%上乗せ)などのリスクがあります。 |
| 今やること | メール添付・クラウド・ECサイト・EDIなど、電子で授受している取引書類を洗い出す(ほか4件は下のチェックリスト参照) |
かんたん要約
- ●メール・クラウド・ECサイトなどで電子的にやり取りした請求書・領収書などは、電子データのまま保存することが義務です(2024年1月完全義務化)。
- ●対応の柱は「①改ざん防止」と「②日付・金額・取引先での検索」の2つ。改ざん防止は事務処理規程を定めるだけでも満たせます。
- ●基準期間の売上高5,000万円以下などの小規模事業者は、検索要件が不要になる特例があります。
対象となる人・企業
電子取引を行うすべての事業者(個人事業主・法人の経理担当)
規制のポイント(やってはいけないこと → 守るべきこと)
やってはいけないこと
メール・PDF等で受け取った請求書・領収書を、紙に印刷して原本として保存し、元データを破棄する
守るべきこと
電子取引データは、要件(改ざん防止+検索)を満たして電子データのまま保存する
やってはいけないこと
改ざん防止には高価なシステムが必須だと考え、対応を先送りにする
守るべきこと
国税庁が様式を公開する「事務処理規程」を定めて運用すれば、追加コストなしで改ざん防止要件を満たす
※ ここで扱うのは電子帳簿保存法の3区分のうち「電子取引データ保存」(義務)です。会計ソフトの帳簿の「電子帳簿等保存」や紙書類の「スキャナ保存」は任意で、要件が異なります。
くわしい解説と実務への影響
電子取引データ保存 対応の3ステップ
STEP1 洗い出し
メール添付・クラウド・ECサイト等で授受する書類を特定
STEP2 改ざん防止
事務処理規程の整備(最も手軽)/ タイムスタンプ / 訂正削除履歴システムのいずれか
STEP3 検索できる形に
ファイル名「日付_金額_取引先」or 索引簿で検索可能に
そもそも「電子取引データ保存」とは
電子帳簿保存法には「①電子帳簿等保存(会計ソフトの帳簿等)」「②スキャナ保存(紙書類をスキャン)」「③電子取引データ保存」の3区分があり、義務なのは③だけです。メール添付のPDF請求書、クラウド請求書サービス、ECサイトの領収書、EDI取引など、電子的に授受した取引情報は、電子データのまま保存しなければなりません(2024年1月に宥恕措置が終了し完全義務化)。紙に印刷して保存し、元データを捨てるのは不可です。
満たすべき2つの要件
対応の柱は「改ざん防止」と「検索」の2つです。改ざん防止は、(a) タイムスタンプを付与、(b) 訂正・削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)システムで授受・保存、(c) 訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定めて運用、のいずれかを満たせばOKです。検索要件は「日付・金額・取引先」の3項目で検索できるようにします。
最も低コストな対応:事務処理規程+ファイル名ルール
追加コストをかけたくない場合は、(c) の「事務処理規程」方式が現実的です。国税庁が個人事業者用・法人用のサンプル様式を公開しており、これを自社に合わせて定めて運用するだけで改ざん防止要件を満たせます。検索は、保存ファイル名を「20240131_330000_株式会社サンプル」のように「日付_金額_取引先」で統一すれば、フォルダ内検索で対応できます。件数が多い場合はExcelの索引簿で管理する方法もあります。
小規模事業者の特例(検索要件の緩和)
基準期間(2年前)の売上高が5,000万円以下の事業者や、税務調査時にデータのダウンロードの求めに応じ、かつ出力書面を取引先ごと・月ごとに整理して提示・提出できる事業者は、検索要件(日付・金額・取引先での検索)への対応が不要になります。多くの小規模事業者は、事務処理規程+データの整理保存だけで実務対応が完結します。
猶予措置(相当の理由)と注意点
2024年1月以降も、保存時の要件に従えないことに「相当の理由」がある事業者は、税務調査でデータのダウンロードの求め・出力書面の提示に応じられれば、改ざん防止・検索の要件対応は不要です。ただしデータそのものの保存は必須で、まったく保存していなければ違反になります。要件どおりに保存していない場合は青色申告の承認取消や、隠蔽・仮装があれば重加算税の加重(10%上乗せ)のリスクがあるため、できる範囲で規程整備とファイル名ルールを進めておくのが安全です。
改ざん防止措置の3つの選択肢
| 方法 | 内容 | コスト感 |
|---|---|---|
| 事務処理規程 | 訂正・削除の防止に関する規程を定めて運用(国税庁にサンプル様式あり) | 無料・最も手軽 |
| タイムスタンプ | 認定事業者のタイムスタンプを付与 | 有料サービス |
| 訂正削除履歴システム | 訂正・削除の履歴が残る、または訂正削除ができないクラウド等で授受・保存 | システム費用 |
違反した場合のリスク
要件どおりに保存していない場合、青色申告の承認取消や、隠蔽・仮装があった場合の重加算税の加重(10%上乗せ)などのリスクがあります。
経過措置・猶予
「相当の理由」があり、税務調査でデータのダウンロードの求め・出力書面の提示に応じられる場合は、改ざん防止・検索などの要件への対応は不要(猶予措置)。ただし電子データ自体の保存は必要です。
対応チェックリスト
自社で行う対応の一例です。チェックを入れると進捗がこの端末に保存されます(サーバーには送信されません)。
※ 一般的な対応例です。個別の要否は専門家にご確認ください。
よくある質問
高いシステムを入れないと対応できない?
紙でもらった請求書はどうすればいい?
受け取ったデータだけ?自分が送った請求書も対象?
対象になるのはどんな人・企業ですか?
どんな規制ですか?
注意しておくことはありますか?
法令の原文はどこで確認できますか?
関連する改正
改正に自動対応するクラウド会計
インボイス制度・電子帳簿保存法など、たび重なる税制・帳簿の改正にアップデートで自動対応。法人の有料プランで業務をまるごとクラウド化。
マネーフォワード クラウドを見る確定申告・開業をかんたんに
やよいの青色申告オンライン、弥生会計 Next、Misoca。個人事業主・新規開業者の確定申告と帳簿づけを改正対応済みのソフトでサポート。
弥生シリーズを見る一次情報・出典
この情報の最終確認日:2026年6月16日